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- 公務員に合格している方
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お疲れ様です。元公務員のりょんです。
今回は「公務員の人事評価の実態」というテーマで記事を紹介していきます。
近年導入された公務員の人事評価制度ですが、ネットではこんな意見が目立ちます。
「Bばかりの意味のない制度」
制度がまだ確立していない部分があるため、評価制度に疑問点を持たれている方が多いのも仕方ないのかもしれませんね。
では実際の評価はどうだったのでしょうか?
本記事では、3つの自治体を渡り歩いた経験値から人事評価がどのように反映されていたか紹介していきます。
もちろん、自治体ごとに差はありますのでその点はご了承ください。

人一倍努力を重ねてもそれ相応の評価がなければ逆にやる気は低迷してしまいます。
実態はどうだったのか、経験談を踏まえて考察していきます。
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1. どんな人が高評価をもらえていたか

実際にどのような職員の方が高評価を得ていたのでしょうか。
地方部・都心部の自治体において違いを感じたので、それぞれ区分して考察していきます。
ここで紹介する実態は主に役職昇任についての情報となりますので、その点をご理解いただきながらご覧ください。
① 地方部の場合
実態は結構出来レース
人事評価制度の導入は最近になって浸透し、適正な能力評価・絶対評価(※①)が推進されています。
ですが、従来までの評価が強く反映されるため実態は結構出来レースです。
そのため従来から「できない人」というレッテルを貼られている場合、どんなに真面目に仕事をしていても高評価を得ることが難しい環境がありました。
高評価を得ている方について職務遂行能力が高いことは確かだったのですが、どちらかといえば
周囲からの評判・信頼度 > 職務能力
といった感じの評価傾向。
勿論職務能力の良し悪しが高評価に直結していることは間違いないと思いますが、それよりも重点を感じたのは周囲からの評判・信頼度です。
物怖じせずに年齢関係なく意見をはっきり伝え、率先して仕事をこなしている比較的性格の強めな職員が高評価を得ている印象を強く持ちました。
個人的にはとても大事なスキルだとは思います。
ですが、周囲から高い評判を得ている職員が比較的自由な環境となっている状況だったので、時にはパワハラ脳の職員が高評価を得ている・・・なんていうこともありました。
背景には地方部の公務員に多いタイプに関係性があると感じました。
地方部の自治体において、仕事を進める上で最も重要となるのがコミュニケーション力です。
比較的組織の規模が小さいため、少しでも失敗してしまうと噂が噂を呼び「できない人」のレッテルがすぐに貼られてしまいます。
とはいっても、実は性格の強い人にはあまり貼られないレッテルなんです。
性格の強い人は周囲からの評判・信頼度が高く、多少の失敗ではあまり評価は下がりません。
一方で気の弱い人はあまり目立たず、小さいことでも失敗すると評価はかなり下がる印象があります。
まさに弱肉強食の世界
これでは人事評価制度を導入した意味がありませんよね。
上記のような状態だと、能力による適切な評価を行うことはできません。
古い考えが根強く残ってしまう地方部の公務員ですが、今度正しい方向に進んでいってもらいたいものです。

地方部の自治体では従来までの積み重ねが非常に重要となるようです。
〜言葉の解説〜
※①絶対評価
自分が出した結果の分だけ評価が上がること。
個々の努力次第が努力に繋がりやすい一方、評価基準の設定は難しい。
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② 都心部の場合
高評価を得ていたのは地道に努力して自己学習を目指している職員
都心部の自治体で高評価を得ていた職員は上記のような方が多かったと感じました。
与えられた業務に対し、日々学習を重ね、ミスやトラブルを抑えるように働いている方が高評価を得ているようでした。
こちらも背景には都心部の公務員に多いタイプに関係性があると感じました。
都心部の自治体は職員間の距離が地方部の自治体ほど近くありません。
そのため、コミュニケーションは重視されておらず、あくまで職務能力に対する評価の傾向が強くあります。
職員についても、物怖じせずに意見を発信したり性格の強い職員は少ない印象を持ちました。
そのため周囲からの評判というものには深い関係性がなく、卒なく責任感を持って従事している職員に対しては普通かそれ以上の高評価が与えられている環境であったと感じました。
こちらは比較的平和な世界
ただ真面目に仕事をしている方が多い印象を持ったので、評価に優劣をつけることが非常に難しい一面を感じました。
公務員の仕事上、部署によって仕事内容・仕事量がかなり異なるため、単純に職務能力だけで判断することは困難となります。
そのため上位評価を得るには周囲の職員よりかなり特殊性の高い成果を上げて目立つ必要があります。
人事評価制度は魅力的ですが、導入が進まない背景にはこういった難しさに関係性がありそうですね。

基準がある程度確立していても、適正な評価をするのって結構難しいんですね。
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2. 分限処分は実在したのか?

人事評価制度が導入された目的の一つとして挙げられるのが、勤務態度や職務能力が著しく悪い職員に対する分限処分です。
公務員にも締め切りなどのノルマは存在していますが、民間企業のように利益を追求しているわけではないため、業績ノルマなどの目に見える競争性はありません。
そのため個々の業績が目に見えにくく、評価の優劣をつけることは非常に難しい部分があります。
ですが、勤務態度が著しく悪い職員をそのままにしておくと組織の士気や人材育成に悪影響を及ぼしかねません。
ではこういった職員に対しての処遇はどのようになっていたのでしょうか?
降任処分・・・人事評価によって役職降格処分を受けている職員は存在していた
免職処分・・・該当者はいなかった
人事評価制度が導入されたことが直接の要因だったか不明確な部分はありますが、実際に降任処分を受けて下位の役職に移行した方は存在していました。
ですが、安心してください。
余程のことがない限り、降任処分はありません。
降任処分を受けている職員は組織の中でも比較的有名になる程、仕事に対する熱意・責任感が欠如していたので、もはや誰もが納得するような処分ではありました。
人事評価制度導入以前は仕事能力や意欲が著しく低い職員も年齢が上がるにつれて役職が上がっていたので、評価制度が導入されたことで環境は少なからず改善されたものと思われます。
免職処分に関しては私の在籍していた自治体ではありませんでした。
それでも自治体職員の懲戒免職処分などのニュースを見ることもあるので、一定数は存在しているみたいですね。
ちなみに数字で見ると・・・
・降格処分(心身的な故障以外)
降格処分該当者・・・71名
全体割合で考えると・・・約0.0004%(地方公務員全体数280,3664人)
・免職処分(心身的な故障以外)
免職処分該当者・・・586名
全体割合で考えると・・・約0.0002%(地方公務員全体数280,3664人)
(参考):懲戒処分者数及び分限処分者数について(総務省)、地方公務員数の状況(総務省)
免職者の方が多いのは意外でしたが、この数字を見ると分限処分を受けている職員はごく少数であることであることがわかります。
与えられた仕事を進められなくても給料が出る。
こういう風に捉えれば、安定なのかもしれませんね。
ですが、組織の風紀を乱すような職員が少しでも適切な処分を受けるようになったことは良い傾向かもしれません。
とはいってももっと多くの該当者がいるのではないかと思います。
今後高度な自治体運営をしていく上でも、人事評価制度をより推進していく必要性があると個人的には感じました。

高い意識を持って仕事をしている人もいれば、何も仕事をしない人もいる。
全体の士気をあげるためにも人事評価制度を推進していく必要性がありそうですね。
3. 高評価を得るためには

では高評価を得るためにはどのように仕事を進めていく必要があるのでしょうか?
私自身、賞与にて「優良」評価を得た経験があるので、自身の経験も踏まえながら紹介していきます。
① 自ら進んでプラス1の業務を行う
与えられた以上の仕事をする
私はこの点を意識して働いた結果が賞与率の上昇に繋がりました。(微量ですが・・・)
実際に行ったこととしては、担当業務以外のヘルプ業務。
休職・仲間割れにより部署内の他担当が崩壊しかけていた現状があったので、担当外の仕事について勉強し、所属長に「微力ではあるが、手伝いたい」という意思を伝えヘルプ業務を行いました。
あまりそういった職員がいなかったこともあり、周囲にも結構目立つ行動だったのも理由の一つかもしれません。
実はこういったプラスの業務、地味にやっていてもあまり効果はありません。
周囲って意外と他人のことは気にしていませんからね。
私の場合は部署の崩壊が庁内で話題になっていたことも相まって、かなり目立った働き方ができたものと思われます。
今思えばかなり運が良かったと思います。
こういった事象は運要素が大きいため、高評価には運も必要なのかもしれませんね。
他にもなにか通常業務にプラスして基盤整備をしたり、独自の新規企画を提案したり・・・といった特殊で目立つことをしないと中々高評価を得られないイメージがありました。
周囲に目立ち、誰もが納得のいくような成果を出さないと高評価は得られないようになっているのかもしれませんね。

今思えば「若造がでしゃばるな」と言われてもおかしくなさそうですね。
② 職員提案事業に挑戦する
これが個人的に最も高評価を得る近道なのかなぁと感じました。
まず、職員提案事業とはどういったものなのでしょうか。
行政運営向上・業務改善を目的とした職員自身が提案する事業
公務員の仕事は年度の計画・予算が決まっており、職員はそれに基づき業務を遂行していきます。
業務方針は基本的に上層部・管理職で計画を練っているため、誰もが関与するわけではありません。
しかし、職員の中には様々な経験値から柔軟な発想・魅力的な提案を持っている職員もいるはずです。
現に職員提案を見ると公務員の固定化した概念を打ち崩すような柔軟でユニークな企画があったりするので、見てみると面白いかもしれません。
そういった職員一人一人の提案を募り、個々の職員(又は複数人)が行政サービスの向上や事務効率化等の提案を行うことで、よりよい行政運営を進めていくために設けられた制度が職員提案となります。
全ての企画が採用されるわけではありませんが、提案内容・提案者名は全職員に開示されます。
また、上層部によって企画の採用が決まると表彰をもらえたりするんです。
これってかなり目立ちますし、評価に繋がることは間違いありません。
職員自ら進んで企画することになるため、完全にプラスな評価となります。
職員提案は職員であれば誰もが提案可能な制度です。
もし仕事に余裕がある方は、評価アップのために挑戦してみると良い結果が生まれるかもしれませんね。

暇な部署であれば業務中に職員提案を練ることができますが、多忙な部署ではそうはいきません。
単純に職員提案だけで評価を決めてしまうのは個人的には納得いかない部分もあったり・・・
③ 兼務制度
最近何かと話題になっている兼務制度について紹介します。
まず、兼務とはどういったものなのでしょうか?
複数の職種として配置されること
要するに、人手が足りずに回っていない部署に他部署の職員が任命されることを言います。
ただでさえ職員不足が問題視されている公務員。
産休や病休などの予期しない事象が発生してしまうと業務が停滞してしまう恐れに繋がります。
都合よく職員採用ができれば良いのですが、公務員の採用試験は長期に渡って実施されるため、早急な補填が困難です。
そこで最近運用され始めたのが兼務という手法。
確かに上層部からしたら新たな職員を採用するより確実かつ早急な対応が可能となるので、非常に便利な方法だとは思います。
ただ、私自身も経験がありますが、かなりハード。
配属部署の仕事も行いつつ他部署の仕事を進めていくことになります。
担当業務以外の業務を同時並行して進めるのは至難の業ではないため、高評価には繋がりやすいと思いますが、通常の2倍以上の業務を担当することになるので、人事評価が高評価に繋がったとしても正直割に合いません。
ましてや兼務することで日々の業務が回らなくなり、体調を崩して病気休暇に突入する職員も見てきました。
高評価を取るか、自分の自由で余裕のある生活を取るか・・・
任命されることは誇らしいことなので、自身に余裕があれば手を挙げてみても良いのかもしれませんね。

任命されることは名誉なことではありますが、無理は禁物。
自分の状況をよく見つめ直し、無理のない範囲で挑戦してみてください。
4. 各休暇の影響は?

ここでは公務員に権利として与えられている長期休暇制度がどの程度人事評価に影響を与えていたのかを考察していきます。
こちらについても自治体によって差がある場合がありますので、その点ご了承ください。
① 病気休暇の影響
お役所仕事と言われていた公務員ですが、今は多忙な部署が多いことから精神的・身体的にかかるストレスが増えてきました。
その傾向もあってか年々病気休暇・休職者の数は増え続け、深刻な問題となっています。
こういった休暇についての認識は未だ理解されない部分が多く「弱い人がなる病気」と言われることも少なくありません。
ではこの病気休暇といったマイナスイメージの強い休暇に関してはどの程度影響があったのでしょうか。
在籍年数が短い場合は結構評価が下がる
実態はこのような感じだったと思います。
在籍年数がある程度ある場合は職員の働き方や性格が明るみになっており、周囲に認知されるようになります。
職員の働き方で差は生じますが「ある程度仕方ない」といった雰囲気になりやすいと感じます。
しかし、在籍年数が浅い中で病気休暇・休職に入ってしまうとどうしても「弱い人間」の評価を受けやすい部分があります。
まぁ確かに最初からあまり責任感の思い仕事を担わせないというイメージが強いため、そう捉える方が多いのも仕方ないのかもしれませんね。
とはいえ、病気はいつ誰がどのタイミングで発症するかわかりません。
公務員の仕事は多種多様で、最初の頃は配属先は運。
部署によって仕事内容も様々で、職員の性格も十人十色です。
ただでさえ入職直後はストレスがかかるのに多忙な部署に配属されたら・・・そう考えると「弱い人間」という言い方は間違っていますよね。
ただ、異動は公務員には避けて通ることのできない道となるので、公務員にとって忍耐力は非常に重要なんですね。
私自身「病気休暇→休職」の経験がありますが、一応復帰の際に「今後の昇進や昇給に影響はない」と人事部署から言及がありました。
ただ、やはり病気休暇の経歴がある職員に関しては部署配置の際にも考慮があり、多忙な部署には配置されることはありません。
そういった点からも評価を上げることが難しい背景があるのかもしれませんね。

最初から多忙部署に配属されると精神的・身体的なダメージはかなり蓄積していきます。
組織運営上仕方ない部分もありますが、短期離職者が増えている背景の一つとして考えられる気がします・・・
② 子育て休暇の影響
現在は働き方改革により育児休暇の取得が推進されており、雰囲気的にも取得しやすい環境が生まれました。
実際子育て休暇は私生活の上で欠かせない休暇であるため、マイナスな印象があってはならないと思いますが、評価に関して実態はどうなっていたのでしょうか?
現在は評価に影響は少ない。が、一昔前は少なからず休暇の取得が評価に響いていた
そうなんです。
現在は組合活動等の影響もあり、子育て休暇の取得有無で評価に影響が生まれない傾向が強くなってきていますが、一昔前は子育て休暇を取得した職員に対して厳しい目が向けられていました。
特に目立っていたのが女性の管理職昇進問題
自治体によっても差がある部分だとは思いますが、男性と比較すると女性の管理職昇進は遅く、割合的にも非常に少ない状況でした。
自身で管理職への承認を断っているケースもあると思うので一概には言えませんが、従来までは子育て休暇期間についてあまり考慮されていなかったため
「休暇を取得する=昇進に傷がつく」
というイメージが強くありました。
制度が確立しているのにも関わらず、制度を活用すると評価に響く。
これって筋が通っていません。
今でも地方部では女性の管理職割合が非常に少ないため、まだまだ改善の余地がありそうですね。

制度はあるけど使えない。
こういうのって公務員あるあるな気がします。
5. さいごに
いかがでしたでしょうか?
今回は「公務員の人事評価の実態」というテーマで記事を紹介しました。
公務員は配置部署によって向き不向きが大きくあるため、評価に関して非常に運要素が強い印象を持ちました。
確かに人事評価制度を導入することで職員の努力が報われる点は魅力的ですが、評価者の捉え方や仕事内容によって評価に差が出ているという意見も多く、不満も存在しているようです。
ん〜非常に難しい部分ですね。
例え高評価を得たとしてもそこまで大幅に給料が変わるわけでもないので、無理は禁物です。
特に最近無理を重ね、精神的な病により休職や病気休暇に入る方が増加しています。
個人的には中途採用者に多い気がしています。
頑張りすぎずに頑張るのって意識していても難しいですよね。
頑張っている時は忘れがちですが、あくまで大切なのは自分の身体とプライベート。
皆さんも無理をしない程度に、自分のできる範疇で高評価を目指して頑張ってください。
りょん