- 公務員の人事評価制度に興味がある方
- これから公務員を目指す方
- 公務員への転職を考えている方
- 公務員に合格している方
- 公務員として働かれている方
お疲れ様です。元公務員のりょんです。
今回は「公務員の人事評価制度の目的・背景」というテーマで記事を紹介していきます。
仕事をする上で評価って気になりますよね。
自分が頑張った分だけ給料や昇任に反映される制度が確立していれば、その分個々のやる気にもつながります。
実は公務員にも職員一人一人を適切に評価する人事評価制度という制度が存在しています。
あまり公務員には馴染みのなかった制度にはなるんですが、最近推進されつつある制度でもあります。
今回は公務員に人事評価制度が導入された背景・目的に重点をおいて、経験談を踏まえて記事を紹介していきます。

公務員は人一倍仕事をしてもあまり給料に差が生じないというイメージがありませんか?
今回は人事評価制度の導入経緯について、経験談から紹介していきます!
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1. 人事評価制度とは?

ここでは公務員の人事評価制度について紹介していきます。
まず、人事評価制度を簡単に説明すると以下のような制度になります。
職員の事務能力・業績を評価し、昇任・昇給・分限(※①)を実施するための制度
要するに職員一人一人の能力・業績を評価することで、差別化を図ろうという内容になります。
民間企業では当たり前に普及しているイメージがありますが、実は公務員にとってはあまり馴染みのない制度なんです。
国家公務員・地方公務員で実施時期が異なるので、参考程度に紹介します。
- 国家公務員
平成19年国家公務員法改正により導入され、平成21年から実施 - 地方公務員
平成26年地方公務員法改正により導入され、平成28年から実施
人事評価の歴史を見ると制度が導入されたのはここ最近のことなんですね。
これまでも公務員には「勤務評定」という人事評価の基礎的な制度は存在していました。
ですが、評価基準が詳細に定められておらず給料等の変化も見られなかったため、形上あるだけの意味をなしていない制度でした。
また、所属長の評価が上層部に通知されるだけで、個人へ評価が伝わることはありませんでした。
この状態だと自分の働き方がどういう評価されているのか不明確であり、逆にやる気を削がれる要因になっていました。
人事評価によって職員の待遇差を設けないとこのような問題が生じることになります。
「頑張っても頑張らなくても給料が変わらない」
この状態ではやる気のある職員もやる気のない職員も同じ待遇になってしまいます。
まさに不公平ですね。
人事評価制度が導入される前、公務員界隈では年功序列(※②)の概念が強くありました。
これは組織としていい方向には動きません。
「年齢を重ねる=知識・経験値が豊富」というのは間違っていないのかもしれませんが、能力が足りていない人が管理職に就いてしまう恐れも考えられます。
これでは組織としてうまくいかない場合が多く、統率が取れずに実際に崩壊している部署があったのも事実です。
こういった古臭い環境を廃止し、知識・能力の豊富な人材を適切に評価していくために人事評価制度が導入されることになりました。
意欲のない職員にとっては厳しい環境となってしまったかもしれませんが、組織運営としては非常に優秀な制度です。
まだまだ導入から日が浅い制度ではありますが、今後益々明るみになる制度であると思います。
人事評価制度の仕組みを知り、良好な人事評価を目指して頑張っていきましょう。

上司が頼りないと下で働く職員には不安が募っていきます。
職員が安心して仕事を進めるためにも優秀な人材が評価されることは必要不可欠ですね!
〜言葉の解説〜
※①分限
「分限」=「身分保障の限界」
公務員には分限処分の概念が存在しており、勤務実績が良くない場合や心身の故障によって職務の遂行に支障がある場合に公務員の身分保障の例外として本人の意に反して免職することが認められている[。
※②年功序列
年齢・経験年数を積めば積むほど役職が上がること。
実力主義とは異なり、後輩が先輩の役職を上回る現象が滅多に起きない。
2. 制度導入の背景

ここでは人事評価制度が導入された背景について学んでいきましょう。
「地方公共団体における人事評価制度の導入等について(総務省)」から抜粋しているので、興味のある方は読んでみてください。
以下では総務省の資料を元に私の経験談を含めて導入の背景について紹介していきます。
(背景)
- 地方分権(※①)が進み、地方公共団体の役割が増大している
- 住民ニーズが高度化・多様化しており、職員に求められるレベルが上がっている
- 職員数減少が著しいスピードで進んでいる
10年前と比べるだけでも公務員の働き方はかなり変化しました。
年々仕事量は増加を辿り、求められるレベルも上がってきています。
さらには予算削減意識の強い中で従来通りの仕事を進めていく必要があり、職員一人一人が工夫を凝らしながら高度な仕事に携わっていく機会が圧倒的に増加しています。
こうした要因もあってか、職員数に関して深刻な問題が続いています。
要求されることは増え続けているのにも関わらず、職員の補充どころか退職・休職者が増えており、年々行政運営は厳しい状況となっています。
公務員が楽と言われる時代は昔の話なんですね。
従来までのやり方を変えていかなければ環境の改善を進めることができなくなり、満足感のある住民サービスが滞ってしまう恐れが出てきました。
これを少しでも改善させていく手段として推進されたのが人事評価制度となるわけなんですね。

抱える問題の多い公務員、明るい未来のためにも少しづつでも変革していく必要がありますね。
〜言葉の解説〜
※①地方分権
国が持っていた権限や財源を、各自治体に業務移管すること。
地域毎の問題解決を進めるため、地域の実情に応じて対応を図ることが背景にある。
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3. 制度導入の目的

ここでは人事評価制度の目的について紹介していきます。
導入の目的は
・「地方公共団体における人事評価制度の導入等について(総務省)」
・「新しい人事評価のポイント(内閣官房)」
から抜粋しているので、興味のある方は読んでみてください。
以下では上記の資料を元に私の経験談を含めて人事評価制度の目的について紹介していきます。
目的① 能力・実績に基づく人事管理の徹底
まず目的の一つとしては適正な人事配置です。
適切な行政運営を行なっていくためには、職員の能力を把握し適切な人事異動を進めていく必要があります。
当然職員一人一人に得意・不得意の業務は存在しています。
不得意の部署に在籍している場合、配属部署が自分の不得意業務であることを伝える機会がなければ苦痛の日々を送ることになります。
その点、人事評価が導入され個人の意見を発する場が生まれたことで、異動希望が実現するかはさておき、適正のある業務を組織に伝えることができるようになりました。
また、自身の能力を十分に発揮できる業務に携わることで職員のレベル・士気・専門性も向上します。
能力を十分に発揮することができれば、自然と従来までの効率の悪いやり方を変えたり、業務がスムーズに進むシステム等を考案することに繋がります。
これは利点の一つですね!
自治体にとっても、職員にとってもメリットが大きいことがわかります。

公務員として様々な業務に精通することは需要ですが、苦手な業務もありますよね。
少しでも個人の意思を尊重できる制度があることは、非常に救いかもしれませんね。
目的② 組織の士気・公務能率の向上
次に目的として挙げられるのが組織の士気向上です。
自治体には様々な職員が在籍しています。
あまり在ってはなりませんが、やる気がある職員もいればやる気がない職員がいるのも確かです。
人事評価制度が導入される前は、優れた能力があろうがどんなに仕事に一生懸命臨もうが、給料に反映されることはなく、同世代であれば給料に変化はありませんでした。
この環境だと優秀な人ほど他の業種に魅力を感じ、離職率が上昇してしまう恐れがあります。
その点、人事評価制度が導入され、職員の能力や姿勢に適切な評価が実現されたことで向上心のある職員が報われることになりました。
頑張った人が認められる制度が導入されたことは非常に大きなやりがいに繋がったと思います。
職員自身も切磋琢磨する意識が生まれ、組織としての生産性も上がります。
そういった環境を作ることで職員の士気は上がり、それが住民サービスの向上に繋がっていくことになります。

頑張っても給料に変化がなければ、頑張る意味を見いだせなくなりそうですね。
良くも悪くもそれ相応の対価を与えることは大切なことかもしれません。
目的③ 人材育成の徹底
次に目的として挙げられるのが人材育成の徹底です。
人事評価では期首に自身で業務の目標を立て、期末に達成度を自己評価していく流れとなります。
期首における目標設定では自身の業務の中で優先順位・困難度を設定していきます。
目標設定の際には原則1つ以上難易度の高い目標を立てる必要があり、職員が目標に向かってチャレンジする環境が生まれることになります。
単純に与えられた業務を進めるより、自身で挑戦的な目標を立てることは非常に重要です。
やるべきことが明確になり、余計な時間やコスト、労力を最小限に抑えることに繋がります。
また、目標設定は担当長及び所属長の管理職の方と面談を重ねながら決めることになるため、管理職が職員個人の目標を把握できる機会が生まれ、いい意味で個人にプレッシャーがかかります。
さらに期末報告により達成度を振り返ることになるため、自分が秀でている部分や改善すべき部分を見つめ直す機会が生まれます。
その方次第ではありますが
「今年度はうまくいかなかったから次年度はもっと頑張っていこう!」
「今年度は経験を積んだから次年度はより高度なことにチャレンジしよう!」
このような考えが生まれることで、職員の向上心は上がり、組織においても非常にプラスに転じる可能性に繋がっていきますね。

目標を立て振り返る・・・
仕事をする上で重要なことですが、中々自分の意思で進めるのは難しいと思います。
制度として強制的にでも実施するのは必要なことかもしれませんね。
目的④ マネジメント能力の向上
最後に目的として挙げられるのがマネジメント能力の向上です。
職員の働きやすさ・業務効率の向上において、管理職のマネジメント能力の向上は欠かせません。
人事評価制度では、管理または監督の地位のある職員について達成目標を振り返ることのできるマネジメント目標を原則1つ以上設定する必要があります。
マネジメント能力を向上させることは、組織の生産性向上・組織のモチベーションUP・業務進捗管理など、仕事を円滑に進める上で非常に重要です。
特に公務員は定期異動によって人の入れ替わりが激しく、適切な業務管理を進めることが難しい部分があるため、マネジメント能力は非常に重点度が高い要素となります。
その点人事評価を行うことで担当職員の業務内容の優先順位を再確認することができるため、目標達成に向けた助言や支援が行き届きやすくなります。
どんな困難な業務があり、どんな悩みを抱える可能性があるか
人事評価で職員一人一人の実情を把握する機会が生まれることで、困難な業務を抱えている職員に対してのケアを充実させることができるようになります。
また、年間のやるべき業務を明確化させることで、進捗状況の確認も容易になり、細部まで管理が行き届くようになります。
人事評価には、職員の評価だけではなく個々の業務把握やメンタルケアという点においても非常に重要な役割を担っているんですね。

管理職のマネジメント能力が高ければ仕事も人間関係も良好に働きます。
職員一人一人の大切な未来を守るためにも管理職のレベルUPも必要不可欠なんですね!
4. さいごに
いかがでしたでしょうか?
今回は「公務員の人事評価制度」について、目的と背景に着目して記事を紹介しました。
人事評価制度導入の目的には、組織として非常に大きなメリットがあることがわかりました。
導入されてまだ日が浅いため、地方自治体では導入に対して腰が重いように感じますが、人事評価制度は職員のやる気や能力向上に欠かせない制度となっています。
厳しい状況に置かれている今こそ推進していくべき制度として、今後益々普及させていく必要がありそうですね。
とはいったものの、人事評価制度普及が進む中で一部でこのような声も聞きます。
・どのような制度(基準)になっているかわかりにくい
・納得いかないことが多く逆に向上心が下がる
確かに「人事評価マニュアル」といった評価方法・基準が記載されている資料は配布されますが、組織から制度の詳細な説明はありませんでした。
私自身も公務員時代に制度は導入され始めましたが、あまり詳細な仕組みについてよくわかっていませんでした。
この状態だとどの点に重点を置いて仕事に臨んでいいのか不透明なままになってしまい、人事評価制度の意味が薄くなってしまいます。
また、基準はあるものの評価に個人差がでてしまうことで逆に反感を買う制度でもあります。
評価って本当に難しいです。
ただ、そう言ってるだけだと何も変わっていきません。
制度がある以上は職員として仕組みを理解し、メリットデメリットを把握した上で取り組んでいく必要があると思っています。
次回以降の記事では、人事評価制度の詳細な仕組み・実態について考察していきますので、期待していただけると幸いです。
実力重視になっていく公務員。
日々の努力・勉強をもっと進めていこうと個人的に気の引き締まる思いが強くなったりょんなのでした。
りょん
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