公務員の人事評価制度の仕組み

公務員の七不思議
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こんな方に向けて記事を紹介しています
  • 公務員の人事評価制度に興味がある方
  • これから公務員を目指す方
  • 公務員への転職を考えている方
  • 公務員に合格している方
  • 公務員として働かれている方

お疲れ様です。元公務員のりょんです。

今回は「公務員の人事評価制度の仕組み」というテーマで記事を紹介していきます。

公務員の人事評価制度の仕組み、皆さんはどの程度理解されていますか?
各自治体で徐々に推進されている制度ではありますが、評価自体まだ不透明な部分が多く疑問点を抱える人が多いんじゃないかと思います。
ただ、制度がある以上、ある程度人事評価についての知識を入れておかないと正直勿体無いです。

「どうせなら評価制度の仕組みを知って、周囲に差をつけていってもらいたい!」

そんな個人的な願望を元に、本記事では公務員の人事評価の制度について経験談を踏まえて考察していきます。

りょん
りょん

制度は認知していても仕組みを知るケースって中々ありませんよね。
どんな部分に評価の重点が置かれているのか理解して、高評価を掴み取っていきましょう!

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1. 人事評価制度とは?

別記事でも紹介していますが、改めて公務員の人事評価制度について紹介していきます。

まず、人事評価制度を簡単に説明すると以下のような制度になります。

職員の事務能力・業績を評価し、昇任・昇給・分限(※①)を実施するための制度

要するに職員一人一人の能力・業績を評価することで、差別化を図ろうという内容になります。

人事評価制度が導入される前、公務員界隈では年功序列(※②)の概念が強くありました。
これは組織としていい方向には動きません。
「年齢を重ねる=知識・経験値が豊富」というのは間違っていないのかもしれませんが、能力が足りていない人が管理職に就いてしまう恐れも考えられます。
これでは組織としてうまくいかない場合が多く、実際に崩壊している部署があったのも事実です。

また評価による差を設けないことで、やる気のある職員もやる気のない職員も同じ待遇になってしまっている状態が起きていました。
自治体のためにどんなに高い姿勢で仕事に望んだとしても給料に変化はなく、サボっている人と同じ待遇の環境となっていました。

こんな状況では率先して仕事をする雰囲気は生まれませんよね。

こういった古臭い環境を廃止し、知識・能力の豊富な人材を適切に評価していくために人事評価制度が導入されることになりました。
意欲のない職員にとっては厳しい環境となってしまったかもしれませんが、組織運営としては非常に優秀な制度です。

まだまだ導入から日が浅い制度ではありますが、今後益々明るみになる制度であると思います。
人事評価制度の仕組みを知り、良好な人事評価を目指して頑張っていきましょう。

りょん
りょん

競争精神が生まれることで組織のレベルも上がります。
安定思考の公務員も少しずつ実力主義の厳しい世界がやってきているんですね。

〜言葉の解説〜
※①分限
 「分限」=「身分保障の限界」
公務員には分限処分の概念が存在しており、勤務実績が良くない場合や心身の故障によって職務の遂行に支障がある場合に公務員の身分保障の例外として本人の意に反して免職することが認められている[
※②年功序列
年齢・経験年数を積めば積むほど役職が上がること。
実力主義とは異なり、後輩が先輩の役職を上回る現象が滅多に起きない。

2. 人事評価のスケジュール・流れ

ここでは、人事評価のスケジュール・流れについて紹介していきます。

経験上国家公務員と地方公務員で若干の違いがあったので、それぞれ紹介していきます。

まず、人事評価のスケジュールについて紹介します。

 国家公務員の場合
 (年間の回数) 2回
 (実施期間) 1回目→10月〜翌3月 2回目→4月〜9月

 地方公務員の場合
 (年間の回数)1回
 (実施期間)4月〜翌3月

 ※回数・時期は入社時期によって異なる

国家公務員については私自身に経験値がないため「人事評価と評価結果の活用(人事院)」より抜粋しています。
地方公務員の場合は国家公務員の制度に準じている自治体もありますが、私が在籍していた自治体では年1回の運用が導入されていました。

次に人事評価の流れについて紹介していきます。

人事評価の主な流れ
























調













国家公務員における人事評価の主な流れ

公務員の業務は基本的に年度単位(4月1日〜翌3月31日)の期間で考えることになります。
そのため、年1回運用の場合は少し特殊な評価となる場合があります。
昇給や昇格は1月1日時点で反映されるため、12月末時点で期末面談が行われ、1月〜3月の期間についてはあくまで見込みの評価で行われます。

年数回の実施ではありますが、規模の大きい自治体だと人事評価をまとめる量も多くなるので非常に大変な作業となります。
また、人事評価は職員一人一人の人生を左右する重要な業務となるので、非常に責任の重い仕事になります。

そのため、評価者が簡易的かつ個人差が出ないような評価制度が設けられています。

りょん
りょん

評価の回数が増えるほど、昇給のチャンスも多く存在します。
地方公務員も国家公務員と同様の制度になってもらいたいものですね。

3. 評価のポイント

では実際に人事評価制度はどのような点に着目して行われているのでしょうか?

評価については2つのポイントに区分されていますので、それぞれ区分して紹介していきます。

ポイント① 能力評価

評価対象:職務を遂行するに当たり発揮した能力

能力評価は年1回の実施となっています。

役職(※①)や職務の種類によって「職務上求められる能力」が定められており、実際に職員がその能力を有していたか評価していくものになります。
具体例として、企画の立案・協調性・専門知識・判断力などが挙げられています。

公務員には職員一人一人に主事・技師・主任・係長といった役職がつけられています。
これは組織を機能的に運営するために必要な制度です。
役職ごとに求められる能力が異なっているため、それを意識して働くことで役職の責任感や人材育成にも繋がっていきます。

自治体ごとに定められている基準は統一されてはいないようですが、基本的には国家公務員の「標準職務遂行能力」に準じて評価されているようです。

標準職務遂行能力は「標準職務遂行能力の概要(内閣官房)」に記載がありますので、詳しく知りたい方はご覧ください。

りょん
りょん

役職の上昇に比例して業務の責任は上がっていくんですね。
一見楽しそうですが、かかるストレスは大きそうですね・・・

〜言葉の解説〜
※①役職
組織内の役割や職務を示す言葉。
役職が変わると職務内容が変わることもある。

ポイント② 業績評価

評価対象:果たすべき業務を達成する能力

業績評価は国家公務員の場合、年2回(1回目:10月〜3月、2回目:4月〜9月)の実施となっています。
地方公務員の場合は、経験上年1回程度の実施を取り入れている自治体が多いように見受けられました。

民間企業では業績という言葉をよく耳にしますが、公務員は利益を追求することが業務の目的ではありません。
よって、売上成績等の目に見える達成基準を設けることは出来ません。
そのため、年度はじめに目標を立て、その目標を達成することができたか否かという点で、業績を評価していくことになります。

1年間の目標を検討することで、計画性の見直しであったり、優先順位の見直しなどに役立てることが可能です。

りょん
りょん

目標設定することで、個人のやるべき業務を明確化することができます。

これは管理職のマネジメント向上にも役立つので、非常に利点が大きい制度ですね!

4. 評価の基準について

評価は6段階

国家公務員では、令和3年より従来の5段階評価から6段階評価に移行されました。

従来の評価、現在導入が進んでいる評価に関しては以下のような仕組みとなっています。

(旧)従来までの5段階評価
S(特に優秀)A(優秀)B(普通)C(劣る)D(やや劣る)

(新)現在運用されている6段階評価
卓越して優秀非常に優秀優良良好やや不十分不十分

自治体によっては従来の5段階評価を取り入れている自治体は多いですが、5段階評価だとあまり評価に差が生まれずに評価制度の意味が薄いものとなってしまいます。

その点評価の幅が広がったことで評価に優劣がつけやすくなり、人事評価制度の現実性が大幅に改善されました。
今後地方公務員においても、少しでも評価に差が生まれるよう国家公務員同様6段階評価が取り入れられるのではないかと予想しています。

りょん
りょん

ネットを見ると「評価がBばかり」という嘆きの意見が多く見受けられます。

職員の給料や昇給を左右する責任の重さから、なかなか優劣をつけるのは難しいのかもしれませんね。

5. 昇給・賞与・昇任・昇格への影響

ここでは人事評価がどのように給料面や役職昇任に影響を与えるのか、という点について紹介していきます。

主に制度として紹介するのは国家公務員の場合になります。
地方公務員については多くの自治体で国家公務員の基準に準じているようですが、独自の基準を設けている自治体も多いため、詳しく知りたい方は自治体のHP等で確認してください。

① 昇給

まず昇給について紹介していきます。
人事評価によってどれだけ給料に差がでるのでしょうか?

まず昇給制度を理解するにあたり公務員の給料の仕組みを理解する必要があるので、簡単に説明していきます。
公務員は「棒給制」という制度によって給与が決定されています。
親しみのない方にとってはなんのことかさっぱりですよね。

以下では表にして説明していきます。

区分職務の級1級
(係員)
2級
(主任・係員
3級
(係長)
・・・
号給給与月額給与月額給与月額・・・
職員156,200210,100233,800・・・
157,100211,800235,500・・・
158,100213,400237,200・・・
159,100215,100238,900・・・
160,100216,700240,700・・・
行政職俸給表(一) 一部抜粋

この表の数値・各級の役職はあくまで参考ですが、公務員の給料は職務の級と号級の表に基づき決定されています。
従来までは職務の級は役職が上がる毎に上位の級に移行、号給はほとんどの自治体で全職員が年1回4号ずつ給与が上昇していく仕組みとなっていました。

しかし、人事評価制度が導入されたことにより以下のような仕組みに変わりつつあります。
国家公務員の区分が複雑なので、ここではあくまで簡易的に紹介していきます。

対象評価1年間(能力評価(1回) + 実績評価(2回))
昇給条件能力評価(優秀以上)+実績評価(良好以上)
昇給区分SAB(標準)CD
昇給号棒数8号棒以上6号棒4号棒2号棒0号棒
決定可能な職員の上限割合5%20%

上限割合が決まっているため、昇給条件をクリアしている評価対象者の中で、上位評価を得た職員から昇給対象者が選定されることになります。

大卒の場合、最初のスタートは基本的に1級25号となります。

あくまで参考ですが、試しに計算してみると・・・

  • 従来までの年間4号給上昇のケース
    1級25号 ¥188,600 ⇨ 1級29号 ¥196,200 
    →増額7,600円 
  • 年間8号給上昇したケース
    1級25号 ¥188,600 ⇨ 1級33号 ¥204,300
    →増額15,700円

 ☆なんと差額 8,100円!!!

上位5%評価を取得するのはかなり難しいですが、1年間でこれだけ給料に差が出るとやる気はかなり向上すると思います。

月々の給料が上がれば年間の給料も大幅に増えることになるので、頑張った分だけ自分の資産になることは非常にやりがいが大きくなりますね!

りょん
りょん

頑張った分だけ給料に反映される・・・

これって労働者にとっての大きなやりがいですね!

② 賞与(ボーナス)

公務員には6月・12月に賞与があります。

賞与と聞くとあまり馴染みのない方もいらっしゃると思いますが、単純にボーナスと思っていただいて大丈夫です。

賞与制度については以下のとおりです。

対象評価半年間(業績評価(1回))
業績評価「非常に優秀」
以上
「優良」以上「良好」以上「やや不十分」
以下
成績区分「特に優秀」
115/100〜190/100
「優秀」
103.5/100〜115/100
「良好」
92/100
「良好でない」
83.5/100
決定可能な職員の上限割合5%以上25%以上

賞与についても上限割合が決まっているため、条件をクリアしている評価対象者の中で上位評価を得た職員から対象者が選定されることになります。

賞与は1度の業績評価での判断となるので、高評価を取得できるチャンスが高いです。

試しに金額を試算してみましょう。

賞与300,000円で上位5%の評価だった場合、最高で570.000円

190/100の評価を受けることは難しいとは思いますが、制度上は倍レベルの支給になる可能性も秘めているんですね。
賞与は金額が大きいため、評価次第では数万円変動することもあります。
評価によってこれだけの金額が変わることは非常にやりがいに繋がりそうですね。

りょん
りょん

賞与に関しては評価によって大きな差があるんですね!

③ 昇任

ここでは昇任について紹介していきます。

まず昇任とは以下のような意味合いで使われます。

現在の官職より上位の官職への任用

つまり、昇任が認められるとより上の役職に上がることができるようになります。

現在昇任に関しては昇任試験を伴う自治体が多いです。
自治体ごとに違いはありますが、人事評価の条件をクリアしていないと昇任自体が認められないこともあるので、自治体ごとに確認してみてください。

昇任制度については以下のとおりです。

昇任は2年分の能力評価・業績評価で決定しています。
役職毎に違いはありますが、国家公務員の場合はこのような制度となっています。

注意点もあるので、記載しておきます。

・「やや不十分」「不十分」の評価がある場合には昇任対象から外れる
・あくまで基準のため、最終的には基準を満たした候補者の中から適任者が決定される

高評価であっても必ずしも昇任が決まるわけではなく、同境遇の職員が多い場合には保留となるケースも考えられます。
組織運営上は仕方ない部分ですね。

経験上、同評価の職員が多い場合は、年齢・経験年数・職員提案の実施等の実績によって優劣が決まっているように感じました。

りょん
りょん

人事評価制度の推進によって若い世代の方でも管理職に昇進する方が増えてきました。

年齢の逆転が起きるのでやりにくい部分もありますが、能力がある職員が管理職になれば非常に働きやすい環境が生まれます。

④ 昇格

ここでは昇格について紹介していきます。

まず昇格とは以下の意味合いで使われます。

棒給表のより上位の職務の級へ上がること

つまり、昇任を伴わずとも上位の級に上がる要素が追加されました。

昇格制度については以下のとおりです。

対象評価2年間(能力評価(2回) + 業績評価(4回))
昇給条件「優良」2回以上 + 「良好」4回以上

昇格は2年分の能力評価、業績評価にて昇格が決まっています。
給料面で比較すると「号棒の上昇<級の上昇」となっているため、昇格した場合にはかなり給料に差が出ることになります。

昇格対象者についても他の制度同様、基準を満たした候補者の中から適任者が選ばれることになるため、卓越した成績を取る必要がありますね。

りょん
りょん

昇格すれば基本給は大幅に上がることになります。

6. さいごに

いかがでしたでしょうか?

今回は「公務員の人事評価制度の仕組み」について記事を紹介しました。

近年導入が制度が確立しつつある人事評価制度。
評価によって上記のように給料や役職に大きな影響がある点については非常に魅力的な制度だと感じました。

ただ、地方自治体では普及していない自治体も多くあり、個人的にはまだまだ導入に関する壁は高い印象を持ちます。
また、評価の基盤をしっかり固めていかなければ職員の不満は増えてしまい、逆効果になる恐れもあります。
実際に見切りスタートで導入している自治体では、評価者の個人差や評価の不透明さから多くの批判的意見が存在しているのも事実です。

評価者も一人の人間なので、ここはなんとも難しい部分。
現在まで中々制度が浸透しなかった理由もわかります。
ただ、公務員界隈では近年離職者増加が著しいスピードで進んでいるので、なんとかして基盤を作り、現状を変えていかなければなりません。

今後どのように制度が浸透していくか注目ですね。
そのためにも制度についての知識を入れておくのは非常に重要だと思っています。
本記事によって少しでも理解が深まれば幸いです。

とはいえ実態も気になる部分ですよね。
次回以降の記事では人事評価制度の実態について紹介していきますので、しばしお待ちください。

それにしても最近どんどん制度が変わっていくので、時代に追いつけていないなぁ・・・と記事を書きながら感じたりょんなのでした。

りょん

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